小学生の時はいつも新聞係で、将来は新聞や本を作る仕事に就くのが夢でした。まさか教員になるとは思ってもいなかったので、大学でも教育課程は履修せず、卒業後は出版社の営業や書店店員、自分探しという名のアルバイト生活を経て、ようやく企業の広報誌などを制作する編集プロダクションに入社しました。編集者としてクライアントとデザイナーやライター、イラストレーターなどなど多くの方の力をつなぎ合わせて、一冊の冊子を仕上げるのはとても楽しく、やりがいのある仕事でした。
ところが、ある日、泊りがけで親子キャンプの取材に行ったときのこと。取材と言いつつ、子どもたちと遊びまくった夜、自分は子どもが好きなのだなと感じました。先生になろうと決意してしまいました。その後、働きながら通信制大学で教員免許を取得し、今に至ります。
教員として大切にしているのは、「子どもたちのつながりを広げること」です。教員になるまで仕事を転々としたおかげで(?)、いろいろな方と出会いました。好きな人も、そうでない人もいたけれど、その人の“よさ”を知ればつながることができ、また仕事もうまくいくことを学びました。子どもたちには「みんな大好き!じゃなくていい。気の合わない人もいる。でも、せっかく一緒に生活していくのだから、お互いの“よさ”を見つけて認め合おう」と話しています。席替えは毎月しました。しかもくじびき。隣とのペア活動やグループ活動はこれでもかというくらい取り入れて、つながりをつくりました。次の席替えの前には、隣の子の“よさ”を手紙で伝え合います。
また、“よさ”を発揮するチャンスも大切にしていました。お菓子作りが好きという男子の「お菓子教室」を開催し、みんなに作り方を教えてもらったことがありました。のちに、その子からの年賀状で製菓専門学校に入学したと知ったときは、彼が自分のよさを発揮する道に進んでいるのだなと、本当にうれしく思いました。
今年度から副校長となりましたので、これからは子どもだけでなく、職員の“よさ”が発揮できるようにしていきたいと思っています。