「あなたのやりたいことは、なんですか?」と突然聞かれても、すぐに思い浮かばない方もいるかもしれません。また「仕事とプライベートはどうしよう?」「やったことがない分野だけど大丈夫かな?」なんて、足踏みをしてしまうこともあるかもしれません。
私の場合、やりたいことは様々な関わりの中で「ポン!」っと生まれてきます。今回は「やりたいことをやってみた」例を2つ紹介します。
まず1つ目は、「SEEC(宇宙を教育に利用するためのワークショップ)派遣プログラム」に挑戦してみました。
たまたま研修で受けたJAXAの講義でSEEC派遣プログラムを知り、とりあえず応募してみたら、選考が通過してアメリカのヒューストンで授業実践の紹介をする機会をもらいました。現地校での授業や、世界各国の教育者へのプレゼンテーションはとても刺激的でした。
この挑戦にあたって「宇宙ってなんだろう?」「英語でのプレゼンテーションはどうしよう?」など考えはしましたが、大切なのは“やりたいか”“やりたくないか”です。私はやりたかったので応募しました。
もちろん、気持ちだけではどうにもならないこともあるので、やりたいことに対して具体的な道筋を考えることが重要です。宇宙に関しては自分で調べたり、理科の先生に聞いたりしました。英語については自分でたたき台を作ったあと、留学経験のある友人や帰国子女の友人に協力してもらいました。途方もない不安を感じる一方でチャンスを逃すのはもったいないので、具体的な道筋を考えながら挑戦していきました。
2つ目は、鑑賞の新しい形に挑戦してみました。
東京富士美術館の平谷美華子さん(学芸員)と連携し、“飾る”という行為について考える授業を行いました。私が担当する図画工作科では、作品をつくることがメインに考えられることが多いのですが、つくった後のことは、授業の中でどこまで考えられているのでしょうか。作品を“飾る”ということは、つくった後のその先を考えるだけでなく、見る人のことまで考える行為です。これからの時代は、つくりだすだけでなく、社会で循環することまで考えなくてはなりません。決してファインアートを蔑ろにしているわけではなく、アートにはこういったデザイン的な側面があり、教育の中で取り上げていく必要があると感じています。
日々教育に携わる中で、やってみたいと思う実践があれば、実践可能な時にやってみましょう。当たり前のことを言っているのですが、日々の業務に追われて、やりたい気持ちが削がれていってしまうこともあると思います。そんなときに重要なのは、考え続けることです。考え続ければ条件の当てはまる瞬間が来るかもしれませんし、条件を当てはめるために試行錯誤できます。
今回は、「やりたいことをやってみた」例を2つ紹介しました。
私にとってのやりたいことは、日々の研究や研修への参加、散歩をしながら気づいたことなど、自分に蓄積された面白いことから自然と生まれてきます。これからまたやりたいことが生まれるときのために、毎日たくさんのことを感じ、経験したいと思います。