今も昔も、子どもや保護者が担任になってほしいと願う先生は必ずいます。では、魅力ある先生とは、どういう先生なのでしょうか。私は、学校で行われる授業のおもしろさや活動の意義を自分自身も感じ取り、それをわかりやすく子どもの心にストンと落とすことができる先生だと思っています。先生の中には、ハウツー本で指導方法を覚え、書いてあるとおりに行い、子どもの反応が悪いとそれを子どもの力量不足と認識してしまう先生もいるようです。指導がうまくいかない時、なぜと疑問に思う先生は、魅力ある先生に一歩近づきます。子どもの反応を思い出し、どうすれば惹き付けることができるか思いを巡らせ考える先生は二歩近づくでしょう。子どもと同じ活動を行ってみて、この授業のおもしろさはここかと気づく先生は、大きく近づくはずです。
生徒指導の面でも同じではないでしょうか。家庭環境等で悩める思春期の子どもは、自分の苦しみの息づかいを感じ取ってくれる先生には必ず心を開きます。授業が分からなくて困っている子どもの息づかい、仲間や親子関係で疎外感を味わう子どもの息づかいを感じ取れる先生を、今も昔も求めているのです。
4月から新採用の先生が数多く教壇に立っています。新採用の先生は資質能力の向上のために数多く研修に出向きます。新採用研修で子どもと向き合う時間が失われる中、研修で学んだことを「自分のクラスの子どもにどう落とし込めるのか、どうすればクラス全体の授業に活気が出るのか」等に立ち返る先生でいてほしいと願っています。
先生がおもしろいと感じて指導したことは、必ずや子どもたちに届きます。自分のことを本気で心配してくれる先生の眼は子どもたちの心を震わせ、子どもの眼にうっすら涙が見えるはずです。そんな新採用教員を育てようと、校長として奮闘しています。子どもの心をつかむために苦労するのは老いも若きも同じです。さあ一緒にがんばりましょう。