CREDUON

Vol.010道具がつくれる人間を育てよう

 便利になっている現代は、ボタン一つで「してくれる」ことが多くなりました。また、知識もインターネット(スマホ)の操作で「教えてくれる」ので、脳を使い、体を使う(道具を使うなど)ことをしなくても、目的が果たせることが多くなっています。

 中学校の現場では、鉛筆が上手く使えない、工具や道具が使えない、考えずに「教えて」と聞いてくる子どもが年々増えています。便利な生活が「してくれる」に慣れていき、自ら考えることや道具を使える力を奪っているように感じています。

 「人間は、道具をつくる動物である」とは、雷雲帯電を証明して避雷針を創ったアメリカの科学者フランクリンのことばです。動物の種の中で非力な人間は、自動車でどの動物よりも速く走り、飛行機で空を飛ぶという道具を創りだしています。科学技術の発展は、道具を創りだすことで加速化しています。

 教育には、人間が創った道具を正しく使うことができる知識と技能を身につけて、新たな道具や生活が創造できる力を育てることが求められています。

 そのためには、便利な時代だからこそ人間としての機能(脳や道具を使う)を、教育によって使えるようにしなければ、次世代が危ういと思います。特に、学校教育では意図的・計画的に道具を使う、考える場面をつくる、具体的なものづくりをして自分の考えを確認する教育活動の時間を確保する必要があります。

 便利な時代に育った先生方にとっても、自分自身の体験力が求められています。自ら道具を使い、ものづくりや飯盒炊飯などの火を使う体験を重ねて、生きた知識と技能を向上させて欲しいと願っています。

 そのためには、「やる」だけの体験ではなく、「なぜ?この道具を使うのか?」「なぜ?この方法なのか?」を考えて、自らの疑問をもち、解決していく体験をしてください。それが、授業や行事での「ねらい」「めあて」となり、評価(何ができるようになったか)につながります。「できた」子どもを誉めて、いっしょに喜びを感じて次世代の人材を育てていきましょう。

東京都府中市立府中第四中学校校長(全日本中学校技術・家庭科研究会 顧問)
三浦 登
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