子どもたちの「好きな教科」については、様々な調査が行われており、調査によって異なった結果が出ることもありますが、昔から人気が高いのは「体育」です。しかし、体育は「必要な教科」「大切な教科」になっているでしょうか。子どもが「好きだから」にあぐらをかいて、教材研究もせず、自分が受けた体育授業をそのまま子どもたちに再生産してはいないでしょうか。「体育授業は進化しています」。志のある先生方は、日々努力を重ねています。子どもたちにもっと楽しく、確かな力のつく体育授業を保障するためにも、体育授業について真摯に学んでほしいと思っています。
なぜなら体育授業は、学級経営そのものと言ってもいいほど、密接な関係があるからです。体育授業では、たくさんの「関わり合い」が生まれ、その「関わり合い」がうまくいけば、体育授業の成果が上がりますし、それと同時に人間関係がうまくいくので学級経営的にもプラスに作用します。しかし、逆に体育授業がうまくいかなければ、人間関係が悪くなり、学級がうまく機能しない状態に陥ることもあります。体育授業は、「諸刃の剣」なのです。そのため、しっかりと勉強し、学ばなければ本当の意味でのよい体育授業はできないのです。
本校の業間休み時間中、1・2年生の多くの子どもたちは、一輪車と竹馬のところに集まってきます。近くに行ってみると、竹馬を持っている子から「校長先生、見てて。」と声がかかります。1・2・3。「できた。3歩、歩けた!」と、うれしそうな声。たった3歩でも、できたと喜ぶ子ども。「すごい、すごい。」と声をかけてやると、満面の笑顔になり、何度も挑戦を続けます。
私たち教師は、人間が成長していく感動の瞬間に立ち会うことができます。特に、体育授業では「逆上がりができた」「25m泳げた」「シュートが決まった」「初めて勝った」等、その成長が目に見える形で現れます。その姿に教師はもちろんのこと、周りの子どもたちも感激し、手をとって喜びあい、涙を流さんばかりに称えあいます。このような感動体験は「生きる力」を育成する基になっているように思います。そのような感動体験を子どもたちにたくさんさせてあげられる、そんな体育授業をぜひ積みあげていってください。そして、子どもたちと同じように感動できる瑞々しい感性をいつまでも持ち続けてほしいと思います。