「学校の先生になる!」私は小学6年生の時、クラスのみんなの前でそう決意しました。私の父が教師をしていて、その姿をいつも近くで見ていたからかもしれません。その時から教師になる道しか考えていませんでした。それから10年が経ち、憧れの職に就くことができた今、日々成長する生徒と同じ時間を共に過ごせることに幸せを感じる毎日です。
さて、実際に教師として働いてみて数か月が経ちました。この数か月はあっという間に過ぎ去っていったように感じます。先の見通しが立てられず、来る日、来る日を何とか過ごしているといった感覚です。そんな日々の中で、私が感じたことは、『楽しい授業』=『良い授業』ではないということです。私は保健体育の教師をしています。体育の授業では特に、『楽しい授業』を心がけていました。どうすれば生徒は楽しんでくれるだろうか?というところに重きを置いていました。しかし、ある日体育の授業中に生徒が何気なく発した一言で私は気づかされました。その生徒は、「先生この授業めちゃくちゃやな。」と私に一言発したのです。その生徒は、いつもまっすぐに視線をこちらに向け真面目に話を聞き、活動も積極的に行っていました。授業者である私に文句を言いたいわけでも嫌味を言いたいわけでもなかったと思います。その生徒がただこの授業の現状を私につぶやいた一言だと思います。その瞬間、全身に電気が走ったような感覚になりました。その生徒に申し訳なくやるせない思いになったのと同時に、この集団の中に同じ思いをしている生徒は何人いるのだろうかと考えるようになりました。
それからは楽しいだけではない『良い授業』をしなければならないと強く思うようになりました。まだまだ満足のいく授業はできません。授業づくりの難しさに直面する日々です。しかし、私にはさりげなくサインを出してくれる生徒がいます。立ち止まった時には、ヒントをくれる先輩の先生方がいます。特に先輩の先生方はたくさんの知識と引き出しを持っています。いいところはたくさん真似をして、それから自分らしくアレンジしていきたいと思います。まずは真似をすることが『良い授業』への近道だと私は思っています。私の好きな言葉の一つに、「常に顔を太陽へ向け、足を常に前へ踏み出すこと」というのがあります。先生になってみて大変だなと思うこともあります。しかしそこで下を向いてしまうと、誰かの素敵なところに気づくこともできません。常に顔を上げ、きらりと光る素敵なものをいつでも見つけられる状態にしておくことが、自分自身を成長させてくれる術だと思います。『良い授業』をするために、私自身、常に向上心を持ち続けることを忘れずにいたいと思います。