「まったく他力本願なんだから」この言葉は、初任から5年間、陸上競技部の顧問を持っていた時に言われた言葉です。
秘めたる力を持った子どもたちが目の前にいて、自分の器だけで指導をしようとした結果、その力が引き出せなかったとしたら…そんな思いから私は、その種目の専門家の指導者を訪ねて教えを請うたり、生徒を派遣したりさせてもらっていました。
周りから何と言われようといろんな先生方の力をお借りして、おかげさまで関東大会や全国大会という世界も見させてもらいました。
現任校で研修主任をさせていただいて3年目になりました。
本校は平成28年度から「朝鑑賞(対話型芸術鑑賞を週1回、通年で行っています。
詳細はCREDUON VISION VOL.149,150,151 朝鑑賞でカリキュラムマネジメント①~③をご覧ください。)」を行っています。
美術の授業で行う鑑賞ではなく、「考える→考えたことを口にする」を目的とした朝鑑賞でしたが、これまで美術に対する興味関心もそれほどなかった私は「芸術鑑賞?う~ん、よくわからないけど、面白そう!」その程度でした。
朝鑑賞を進めるために、まず、武蔵野美術大学の三澤一実教授に全面的にバックアップしていただきました。
なぜ、今、朝鑑賞なのか。
これからの教育・世界は、こんなふうに変わっていく…だから、芸術なのだ、というお話をしていただきました。
武蔵野美術大学の先生方・学生さんにはここでは書き表せないほどの協力をしていただいたし、今までは無縁だった美術関係の方と話す機会も増えました。
また、美術関係に止まらず、様々な分野でご活躍の大学の先生方との出会いも増えました。
そして、そういった方々のお話を聴きながら、学習指導要領・カリキュラムマネジメント・社会に開かれた教育課程…と世界はどんどん広がっていきました。
「朝鑑賞」から始まった本校の取り組みは「主体的・対話的で深い学びにつながる 三ヶ島アートプロジェクトⅠ~Ⅲ」と題し、授業改善の取り組みに発展しました。生徒に本物を見せたい、そう思ってゲストティーチャーに来ていただく授業も増えました。
保健体育のダンス単元では近隣の県立芸術総合高校のダンス部の生徒さんに来ていただきました。目の前で踊っていただく迫真のダンスに、授業の空気は一変しました。
自分ではできないこと、でも、人との縁を繋ぐことで、世界を広げていくことができる…。
研修主任をやらせていただき、朝鑑賞を皮切りに、人とのつながりや世界があれよあれよという間にどんどんと広がっていきました。
広がっていくきっかけは「面白そう!」と「この分野だったら、どんな方にお願いできるかな」という元来持っている『他力本願』な部分だったかもしれません。
自分では全部できないから、得意な方の力をお借りする。
すべては子どもたちのため。もっと大きな世界・本物に触れてほしい…。
このところ、行き詰まりを感じていたのは、何でも自分で済まそうとした節があったかも。世界は素敵な人であふれている、ご縁を繋ぎ、お力をお借りしながら…そんな考えにもう一度立ち返ってまた進んでいきたいと思っています。