東京学芸大 学芸の森保育園では東京学芸大学の教員が保育園の職員と共に様々な保育における実践を行っています。科学あそびや造形あそびなど多岐にわたる実践は活動を共に行う在学生にも学びとなっています。
私はかつて大学院に在学中、学芸の森保育園で実践に参加してきました。
園長先生や現場の先生の子どもへのまなざしは学生であった私にとって保育という営みを知る貴重な機会となりました。
私は現在、岐阜にある短期大学部で幼児教育学科の教員をしていますが、子どもの造形活動を研究するようになったのも学芸の森保育園での経験があったからです。
子どもの造形活動に関する研究を始めたのは東京学芸大学の笠原広一先生の研究がきっかけでした。笠原先生もまた学芸の森保育園と連携造形活動プログラムを実施しており、その活動の中に私も参画させて頂きました。
活動を行う前には毎回議論をし、実践を終えた後も大学の先生や保育園の先生と共に時間をかけて振り返ります。当時まだ学生であった私の研究や実践は拙いものでしたが、皆が納得するまで題材について話し合い、実践の反省をし、各々の研究の資料や記録・データについて検証をしていくなどとても充実した時間でした。
連携造形活動プログラムも2年目になった時に、今までの活動を報告する「子どもアートカンファレンス」を実施することになりました。
「子どもアートカンファレンス」では表現活動の背後にある子どもの意図や変容について報告をしました。また、作品や制作の過程の写真と共に、子ども理解について保護者の方を交え、話し合いました。
こうした実践研究を振り返ると度々、研究の課題に直面し、悩む時がありました。
研究だけではなく、実践の活動の考案や企画も同様です。
そうした時にふと、現場の子ども達と関わると研究を進展させるアイデアや活動を実施する案が思い浮かびました。何気ない関わりや子ども達とのちょっとしたやり取りが大きく前進する一歩となります。先生達との振り返りや研究における議論も子ども達との些細な関わりから進展しましたし、「子どもアートカンファレンス」もそのような子ども達との関わりから発展しました。
もちろん、子どもと関わることだけが教育学や保育学ではありませんが、実践や研究のヒントはすぐそばにあるのかもしれません。