長らく学級担任をしてきましたが、ここ数年は算数習熟度別指導教員として勤務しています。担任という立場を離れて感じたことや、専科教師として指導しながら感じたことを紹介させていただき、学校が少しでも子供たちにとって居心地の良いところになればと願っています。
専科教師になって心がけたのは、緩やかな関係です。特に人間関係と学習規律・教室環境を大きく見直しました。
人間関係は「ななめの関係」を意識しました。ななめの関係とは、家庭で言うところの祖父母や親戚のような少し気軽な要素がある関係を指します。ななめの関係では教師が要求しなくても家庭のこと、友達のこと、先生のこと!まで、様々な情報が子供たちからもたらされます。直接的な関係ではなく、ななめの関係だから安心して話してくれるのです。教師が緩やかな人間関係を作ると子供たちにも伝播していきます。特に学級の枠を超えて集まる算数習熟度別指導では緩やかな人間関係が欠かせません。
授業規律は「学習のために必要なことであれば原則OK」の1つだけです。子供ですから、雑談に興じることもなくはないのですが、大崩れすることはなく、学習が得意な子は自然と教え役になり、苦手な子も自然体で質問ができる主体的に学ぶ子供たちになっていきました。
特に、安心して「できない、分からない」と発言できる環境は大切です。しかし、学校の中でそれを表明することは相当の勇気が必要です。算数教室が安心・安全の学びの場であることをフィロソフィーとして掲示物等で訴え、折に触れて読み聞かせたりしました。フィロソフィーが浸透していくと子供たちの言葉や行動の中に自然と現れていきます。
本校には、教室だけでなく専科教室をはじめ様々なところに子供たちの居場所があり、担任の先生と少しだけ関係性が異なる教職員が関わってくれます。校長室も子供たちの居場所としてほっとする場所や気持ちを整える場所になっています。
専科として担任や子供たちを異なる立場で見つめたことで、人間関係も学校の在り方も1つではないことを強く感じました。また、専科の先生方のご苦労も実際に専科をやってみて初めて深く理解することができました。
チーム学校の高度な実現には、異なる立場にある教職員がそれぞれの立場を生かした方法で子供に関わることが大切です。先生の数だけ様々な居場所がある学校って素敵だと思いませんか。子供たちを学級の子ではなく、学校の子として支えていくためにも担任以外の教職員の役割は大きいと考えています。