みなさんは、これまでに「想像していなかった方に導かれた」というご経験はありますか?私はこの約20年が、まさにそのようなことの連続でした。教職に就き、出産、復職、退職。移行期間を経て、心理職へ転身。現在はSC(心理職)、そして母として、子ども達と関わる日々を送っています。今回は、私が経験したこの3つの役割を通じて、私が子ども達から教えてもらったこと、またその経験から生まれた、私が「子どもと関わる時に大切にしていること」についてお話させて頂きたいと思います。
私が「子どもと関わる時に大切にしていること」は3つあります。ひとつは「非言語コミュニケーションを大切にする」ということ、もう一つは「答えはその人の中にある」ということ、そして最後は「まずは私が変わる、まずは私が工夫する」ということです。
まず「非言語コミュニケーションを大切にする」という考えに至るきっかけを与えてくれたのが、肢体不自由特別支援学校での教師経験でした。最重度の障がいのある子ども達との関わりを通じて、「非言語のコミュニケーションの中には、人と通じ合うための重要な要素が存在している」ということを教えてもらいました。それはまるで、サン=テグジュペリの『星の王子さま』の中にある「かんじんなことは、目には見えない」という一節の意味を理解できたような経験であり、私のその後の考え方、視点の持ち方の土台となる学びとなりました。
次に、「答えはその人の中にある」という考えは、SCとして多くの方々と出会う中で辿り着くことができた考えです。人にはそれぞれの「物語」があり、その「物語」の主人公である相談者の中にしか、問題解決の「答え」はないと、相談を通じて感じるようになったのでした。そのことに気が付いてから、私は子ども達と接する時には、傾聴と対話を通じて、子どもが自分で自分の「答え」に気づくことができるような関わり方をしようと思うようになりました。
最後に、「まずは私が変わる、まずは私が工夫する」についてですが、これは、我が子が私に教えてくれたことです。子ども(他者)を変えようとしても上手くいくことはほとんどなく、子どもを変えるというよりは、「まずは私が変わる、まずは私が工夫する」ことで、自分も相手も過ごしやすく、生きやすくなると気づかされたのです。私の子ども達は、この気づきを、彼らの成長と共に私に与えてくれ、私を成長させてくれているのでした。
以上3つの点を大切にしながら、進んでは立ち止まりを繰り返しつつ、SC(心理職)、母として日々子ども達との関わりを楽しんでいます。