私は大学の教員になって約20年になりますが、初めて研究会を立ち上げたのは愛知教育大に着任したときです。愛知は見知らぬ地で、知り合いの現場の先生もいません。
そこで恩師を介して一人の先生と出会います。
そこから研究会が始まりました。まずは二人で始めました。研究会は人数でありません。たくさんいるからよい研究ができるというわけではありません。勉強したい人が集まればよいというスタンスです。そうすると、うわさを聞いた先生が「参加してもいいですか」という方が出てきます。そこには少し手立てが必要です。少しずつ参加者を増やそうと思ったら授業研究をしていろいろな人たちに研究成果をお知らせすることです。
また、現場の先生は「体育の悩み」「もっとうまくなりたい」「研究に関心がある」持っているので、そういった先生に声をかけることです。先生の中には、そういった思いを持っている人は少なくありません。勉強会というと少しハードルが上がるので、「何か実践を持ってきて」ではなく、「どんなものか見に来て」くらいのニュアンスで来やすい雰囲気をつくることです。中にはそういったことを欲している先生もいて、すぐに実践を持ってきてくださる先生もいます。また、基本的には学校の会議室などを使うのでマネジメントしてくださる先生がいると助かります。
さて、基本的には月に1回程度で開催しますが、常に新しい実践を持ってくる必要はありません。2学期に5学年ゴール型のゲーム単元を行うとします。その実践をどうつくるかを2~3回にかけて議論しても構いません。議論するだけではなく、途中経過や成果も議論しましょう。その時に気を付けなければならないことは、学習内容を置き去りにして教材づくりだけに終始してしまうことです。現場の先生は教材に関心を高く持っています。
まずは、学習指導要領に記載されている内容を具体的にすることです。「スペース」という言葉もいろいろあり、相手がいて左右の開いているスペースを指しているのか、頭越しのパスをイメージしているのか、忘れられるのが相手の前のスペースを有効利用するのかです。そうすると、教えたに内容でゲームも大きく変わってきます。
また、シュートをどのように教えるか、パスをどのように教えるかも重要です。例えば、バスケットボール系でシュートを教えるとき、ゴールに「意味を持たず」やるだけのシュート練習と、ボールの握り方、ボールの放り方、放った時の姿勢などを細かく指導しているかでは習得状況に変わります。そういったことを検討するのが勉強会です。