先日(令和2年1月11日)「第87回 授業と子どもを考える会」が行われました。
この会は春の会、夏の会、新年の会と年に3回行っているので、29年目を終えた計算になります。この会は平成3年度に私が東京学芸大学附属世田谷小学校に勤めていて音楽教育について学びあう場をつくったのが始まりですが、現在では学校現場でおきる様々な事象をテーマに学び考える場となっています。
参加メンバーは東京学芸大学附属世田谷小学校を中心に音楽を研究教科とする先生方の人脈が広がって、同附属竹早小学校の音楽専科、同附属高等学校の音楽専科、練馬区の小学校音楽専科、調布市の中学校音楽専科、東京学芸大子ども未来研究所プロデューサー等々、毎回10名前後が集まっています。
会のプログラムはいつも「自己紹介」という名の近況報告から始まります。これに1時間、時には1時間30分近くかかります。一人ひとりがおしゃべりだということも否めませんが、一人ひとりの話がとても興味深く、ついつい聞き入ってしまったり質問を重ねてしまったりして、気づいたら時間が経っているという具合です。いつも海外に出かけては失敗をしでかしてくるTさん、「この間,面白いことがあったんだけど、それがさあ…」と話が止まらないSさん等々、ここで聞く話は本当に刺激的です。
そしてやっと始まるメインの提案。この日は東京学芸大学附属高等学校の居城勝彦先生が公開実践「劇音楽の演じ手になろう」をもってきてくださいました。ここでは高等学校の音楽教育を生涯教育の入口ととらえ、教材として出会った能とミュージカルという2つの音楽文化の成立背景を知り、「高砂」と「Memory」を演奏することを通してさらに理解を深めることを目的としています。日本の伝統音楽はそれのみで単元構成されることが多いところを「劇音楽」というくくりで能とミュージカルと並行させることにより、知識の断片として捉えられていた音楽文化を現在につながるものとして捉えられるよう意識の変化を促す試みでした。
大学の教員養成に関わるようになってからよけいに、様々な学校種の取り組みが私の授業づくりの参考資料となっています。次回は調布第三中学校の小山貴裕先生がユニークな取り組みを提案してくださる予定です。参加ご希望の方は東京学芸大学附属世田谷小学校までご連絡ください。