教員のブラック労働是正や働き方改革が叫ばれて久しいですが、現状は何も変わること無く、漫然と過ごしていた2月下旬。突然の休業要請により、学校現場は空前絶後の臨時休校期間に入りました。現場は急な対応に追われ騒然としましたが、授業が無くなったことで、ある意味、夏休みと同じ状態となり、余裕が生まれたことも事実です。
そんな中、現状に変化を求めていた私は、環境を変えようと引っ越しを決意しました。友人に教えてもらった物件は3LDKの分譲マンション。一人暮らしには広すぎると思いましたが、詳細を聞くとマンションを3人で共有する、いわゆるシェアハウスだったのです。見知らぬ人との生活に抵抗はありましたが、何の変哲もない毎日を変えようという思いは日に日に増し、意を決してルームシェア生活を始めました。
この新たな生活は良い意味で想定したものと乖離しており、私の常識がいかに偏ったものであったかを再認識させてくれるものとなりました。
ルームメイトの1人はマンションの家主でIT企業の経営者です。ワーケーションを基本としており、都内に戻ることは月に1回程度。本人曰く、仕事と休みの境目、仕事と遊びの境界はなく、楽しく熱中していることを追求していたら今の仕事に行き着いたそうです。私たち教員が考える働き方改革は、仕事の量を少なくし、教師の負担を減らそうとするものですが、本当の働き方改革とは、先生が心から楽しいと思えることを追求できる環境に学校を変えていくことであると痛感しました。
もう1人のルームメイトは石油元売会社に勤めており、コロナ禍の影響もあり、在宅勤務を主としています。企業人にとっては当然ですが、効率の良いものを求め、無駄なものを省いていくという発想を仕事の基本としています。出勤簿の押印など、学校現場に残る旧態依然の慣習を伝えると、「何のためにあるの?」と笑われます。競争原理がはたらかない公教育機関では意味のないことが他にも多くあるため、私たちは私たちの「常識」を疑い、不必要な業務を削減していく必要があると改めて感じました。
シェアハウス生活は自分の常識を見つめ直す大きなきっかけとなりました。今後は我慢を美徳とするのでなく、一人一人の意欲、内発的動機付けを基本とする教育に転換する必要性を強く感じます。そのためにも、まずは教員が物事を批判的に捉え、選別していく力を高めていくことが肝要です。外部との接点をこれからも大切にし、井の中の蛙にならないよう研鑽したい所存です。