教師としても、社会人としても1年目のはじまり。人生における新しいスタートに、胸が高まらないわけがない。「どんな子どもたちを担任するのだろう」「先輩たちは優しいかな」「授業はうまくやれるかな」「毎朝起きられるかな」と、小さなことから大きなことまで色々な想像を膨らませながらの初出勤はつい昨日のことのよう。あっという間だったこの10ヵ月間は、教師という職業の理想と現実のギャップに驚かされる毎日でした。
まず、4月最初の職員会議は衝撃的でした。職員室で飛び交う聞き覚えのない言葉に理解が追い付かなかったことを覚えています。さらに、始業式までに準備するべきことの多さに直面し、早くも頭がパンクしかけました。正直なところをいうと、私は大学、大学院の6年間で、勉学やボランティア、学生活動をこれからの教員人生のためにと、経験を重ねてきており、多少の自信がありました。しかし、6年間で学ぶことのなかったことや、子どもたちと直接関わらない部分の仕事が数多くあることを知らされ、これまでの自分の視野の狭さを悔やむと同時に、多少あった自信も薄れ、気を引き締めなおす初日でした。
次に訪れた難関は、子どもたちとの関係づくりです。今までの実習での経験とは違い、担任として毎日関わっていく中での関係づくりには難を要しました。褒めることもあれば、叱ることもあり、その繰り返しの中で築いていかなければならないこと。また、年が近くて初対面、おまけに1年目ということもあってか、子どもたちから試し行動の応酬。子どもといえど相手を窺う術は侮れないことを学びながらの毎日でした。
そしてなんといっても、日々の授業づくりです。特に、子どもたちの興味関心を引くことに難しさを感じています。諸先輩方の授業を参観させてもらう度に目からうろこが落ちるのです。しかし、先輩方のやっている通りに実践したからといって実態や関係性でがらりと違う色を見せる。難しいところであり、面白いところでもありますが、子どもの好奇心に火をつけるには、研究や工夫が欠かせないことを痛感しています。
実際に教員になってみて、予想を超えるハードワークに失敗だらけの授業、担任として子どもと関わっていくことの難しさなど、思い描いてきた理想とは違った現実もありました。しかし、そんな日々を乗り越えられてきたのは、これまでの6年間でたくさんのことを教授して下さった恩師や共に議論し合った仲間、何かあったらすぐに話を聞いてくれる職場の先輩方、そして目の前の子どもたちの存在があるからだと思っています。自分はまだまだ新米教師。これからも初心を忘れず、理想を超えていけるよう日々精進していきたいと思います。