教師として私が大切にしているのは、保護者の気持ちに寄り添うことです。
私自身、2人の息子を育てる中で様々な困難に直面し、たくさんの失敗もしました。それでも何とか彼らを無事社会に送り出すところまでこぎつけられたのは、学校の先生をはじめとする多くの方々の支えがあったおかげだと感謝しています。
今はある意味、私たちの頃よりもさらに子育てが難しい時代になってきていると感じます。勤務校でクラス担任をしていますが、多くの保護者が、多すぎる情報の中で何をよりどころとして子どもと向き合ったらよいのか悩み戸惑っているようです。自分がかつて保護者の立場で息子の学校の先生方からしてもらってありがたかったことを、形は変わるでしょうが、担任クラスの保護者の皆さんに少しでも「おすそわけ」できたらいいなと思っています。
学校に通う子どもたちは、3年もしくは6年で卒業していきます。私たちは子どもたちをいわば「ところてん」式に社会に押し出してしまうと、ほとんどの場合はそれきりつながりが途絶えてしまいます。しかし、保護者はその子どもとのつながりが完全に途切れることはないのです。
私は日頃、将来どんな人に育ってほしいのか、そのために今何が必要なのかを意識して生徒たちと接するようにしていますが、それは子どもたち自身のためだけではなく、学校を卒業後もずっと子どもに伴走し続ける保護者の背中を押してあげられたら、という気持ちもあってのことです。自分自身にもいつも言い聞かせていますが、子育ては片手間でできるようなものではないこと、だからこそやりがいがあるということ、それなりの価値観を持ちスタンスを定めた方が「親業」(仕事みたいですが)も細く長くじっくり腰を据えて続けやすいのではないか、ということを保護者に伝えていきたいです。
以前「教育とは『共育』だ」と聞いたことがあり、私の好きな言葉でもあります。学校は教師が子どもを育てる場というよりも、教師と子ども、さらには保護者が共に育っていく場所であってほしい。これからも、新しいことを学びつつ子どもと共に少しでも成長していけるよう、目の前のできることからコツコツとやっていくつもりです。