アルプスの山奥に、今は使われなくなった古い山小屋があった。その壁をよく観察すると、オレンジ色の生き物がいくつも連なっていることがある。彼らの名は「カキツナギ」。
長いしっぽを仲間の耳に巻き付け、互いの体を繋ぎ合う姿は、まるで干し柿のようだ。群れでひとつに繋がることで暖をとり、体を大きく見せて天敵から身を守りながら、厳しい冬を越す。冬眠中、山から吹く風に乗って虫が飛んでくると、一斉に口を開け、そのまま飛んできた虫を捕食する。
長く生きた個体ほど皮がシワシワになり、より干し柿らしい姿になるという。人間が見つけても、本物の干し柿と間違えてしまうことがある。
我々はさらに北を目指して進んでいく。北へ進むほど、風は一層冷たくなっていく。