VISION
ELEMENTS
HUMAN
井上 硯太 INOUE Kenta
2005年生まれ、埼玉県出身。
東京学芸大学グラフィックデザイン研究室所属。
1枚の紙をデザインナイフで切り抜き、台紙に貼り重ねる「切り絵」を制作している。
また、演劇や映像制作も行い物語性のある作品が多い。
幻獣探検記 File Number.3 カサカナ(Parasolfish)」
illust:井上硯太
世界は、いまだ名もなき神秘で満ちている。
アフリカへ向かう航海の途中、潜水艦の脇を猛スピードで通り過ぎる魚の群れに遭遇した。「カサカナ」である。
カサカナは、細長い体を活かし、群れで高速で泳ぐ。最大の特徴は、その特殊な骨格にある。カサカナの体内には複数の背骨が通っており、敵に遭遇するとそれらをしならせ、体の内部を膨らませる。すると体は、まるで傘を開いたかのような形になる。この様子が名前の由来である。
さぁ、いよいよ我々はアフリカ大陸に上陸する。
「幻獣探検記 File Number.2 カブトバト(Kabuto Dove)」
illust:井上硯太
アジアの道端で遭遇したこの鳥は、「カブトバト」と呼ばれている。
小さな羽根では空を飛ぶことはできず、細く長い足で地面を走り回る世界でも有数の飛べない鳥である。くちばしの脇から伸びる黄色いひげは、まるで戦国武将の兜飾りのようであり、その長さがそのまま雄の人気を決める。しかし実際には、そのひげが仲間同士で絡まり、転倒する個体も少なくない。
次なる調査に向けて、我々はアフリカ大陸に向かう――
「幻獣探検記 File Number.1 ドセル(Ⅾosel)」
illust:井上硯太
世界は、いまだ名もなき神秘で満ちている。
今日は南米の密林で出会った小型哺乳類、ドセルについて語ろう。彼ら自身は長距離移動せず、チンパンジーなどの樹上動物の背に身を預け、共生というかたちで森を渡る。高い木の上にある若葉や果実を主食としながら、それを背の羽毛の間に蓄える習性がある。個体によって異なるその鮮やかな羽毛の色は、空からでもはっきりと確認することができるほどだ。
我々の調査は、まだ始まったばかりだ。
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