VISION
ELEMENTS
HUMAN
井上 硯太 INOUE Kenta
2005年生まれ、埼玉県出身。
東京学芸大学グラフィックデザイン研究室所属。
1枚の紙をデザインナイフで切り抜き、台紙に貼り重ねる「切り絵」を制作している。
また、演劇や映像制作も行い物語性のある作品が多い。
幻獣探検記 File Number.5 チョウチントカゲ(Lantern Lizard)」
illust:井上硯太
照りつけるような太陽が砂漠に沈むころ、どこからかかすかに「ワーショ、ワーショ」といった体を擦り合わせる音が聞こえてくる。「チョウチントカゲ」だ。
その名の通り、喉から尻尾にかけて連なる丸々とした膨らみはまるで提灯が連なっているようだ。夜になると本当の提灯のようにやわらかく発光、その光に誘われて集まった虫を長い舌で素早く捕らえる。厳しい砂漠の環境の中で進化した独自の生態で、その構造は未だ解明されていない。
ところで、私の靴はいったいどこに行ってしまったのだろうー
さぁ、いよいよ我々はアフリカ大陸に上陸する。
幻獣探検記 File Number.4 ファンボーン(Fanborn)」
illust:井上硯太
尻尾の先端が4つに分かれており、ファンのように高速で回転させ強い風を発生させることから、この名がついた。その風で草むらの中や高木にある、実を集めて食べる習性がある。幼い頃は全身が長い体毛に覆われているが、成長するにつれ自らが起こす風によって徐々に毛が抜け落ちていく。やがて完全に硬い皮膚が露出し、風の抵抗を抑えた体つきになる。乾季には群れで木々を巡回し、周囲には常に猛風が吹く。その姿は遠くからでも確認でき、現地の人々からは「風の神さま」とも呼ばれている。探検隊が草原を進むと、遠くに砂漠が見えてきたーー
さぁ、いよいよ我々はアフリカ大陸に上陸する。
幻獣探検記 File Number.3 カサカナ(Parasolfish)」
illust:井上硯太
世界は、いまだ名もなき神秘で満ちている。
アフリカへ向かう航海の途中、潜水艦の脇を猛スピードで通り過ぎる魚の群れに遭遇した。「カサカナ」である。
カサカナは、細長い体を活かし、群れで高速で泳ぐ。最大の特徴は、その特殊な骨格にある。カサカナの体内には複数の背骨が通っており、敵に遭遇するとそれらをしならせ、体の内部を膨らませる。すると体は、まるで傘を開いたかのような形になる。この様子が名前の由来である。
さぁ、いよいよ我々はアフリカ大陸に上陸する。
「幻獣探検記 File Number.2 カブトバト(Kabuto Dove)」
illust:井上硯太
アジアの道端で遭遇したこの鳥は、「カブトバト」と呼ばれている。
小さな羽根では空を飛ぶことはできず、細く長い足で地面を走り回る世界でも有数の飛べない鳥である。くちばしの脇から伸びる黄色いひげは、まるで戦国武将の兜飾りのようであり、その長さがそのまま雄の人気を決める。しかし実際には、そのひげが仲間同士で絡まり、転倒する個体も少なくない。
次なる調査に向けて、我々はアフリカ大陸に向かう――
「幻獣探検記 File Number.1 ドセル(Ⅾosel)」
illust:井上硯太
世界は、いまだ名もなき神秘で満ちている。
今日は南米の密林で出会った小型哺乳類、ドセルについて語ろう。彼ら自身は長距離移動せず、チンパンジーなどの樹上動物の背に身を預け、共生というかたちで森を渡る。高い木の上にある若葉や果実を主食としながら、それを背の羽毛の間に蓄える習性がある。個体によって異なるその鮮やかな羽毛の色は、空からでもはっきりと確認することができるほどだ。
我々の調査は、まだ始まったばかりだ。
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