Vol.115宇宙教育という手法②
海外との連携「SEEC」

2018.06

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センターでは、日本の教育関係者を海外へ派遣するプログラムを実施しています。米国ヒューストンにて開催される「宇宙を教育に利用するためのワークショップ(Space Exploration Educators Conference: SEEC)」は、米国航空宇宙局(NASA)/ジョンソン宇宙センター(JSC)の公式ビジターセンターであるスペースセンター・ヒューストンが主催する教育関係者向けのワークショップです。全米はもとより、カナダ、ヨーロッパなどから数百名の教育関係者が集い、広く「宇宙」を教育に活用すべく、指導方法や教材について100以上のセッションに分かれて発表、意見交換、情報提供等を行うもので、プログラムにはNASA/JSCの施設見学も含まれています。

 JAXA宇宙教育センターでは、このワークショップで発表する「幼稚園・保育園・小学校・中学校・高等学校いずれかの教職にある方(担当科目は問わず)」を毎年2名程度公募し、派遣しています。また、ワークショップに先立ち現地の学校を訪問し、実際に授業を行っていただくことも計画しています。 宇宙開発の教育利用が活発な米国の教育関係者と交流したり、現地の学校の設備・教室環境などを見学したりすることによって、新たな視点の獲得や参加者間のネットワークの拡大も図ることができます。

 昨年度は小学校の先生と高等学校の先生にご参加いただきました。それぞれテーマは「トラス構造」と「流れの不思議な世界」でした。

 「トラス構造」とは構造形式の一つで、宇宙開発だけでなく地上の身近なものでも使われている構造の一つです。それを図画工作的なアプローチで、ストローや新聞紙を使い、子どもたちが体験する取り組みを行いました。

 「流れの不思議な世界」では、流体力学という物理学の難しい学問を、凧やドライヤーを使った実験を通して学べる取り組みを行いました。

 いずれにしても、ただ「宇宙のことを学ぶ」ためだけの教材ではなく、「宇宙を利用して学ぶ」という教材であり、現地の小学校や当日のセッションでも大盛況でした。みなさんもぜひ一緒に「宇宙を使って」学びを深めてみませんか。

JAXA宇宙教育センター 主事
松原 理
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