CREDUON

Vol.055ほんの少しのスパイスを! 国語科学習におけるアクティブ・ラーニング①
「半未知」と「ずれ」というスパイスを効かせる

 国語科では、指導事項、教材、言語活動を密接に関連付け、単元や授業を構想する必要があります。子どもにとって教材と言語活動は目に見える具体であり、教師は、その具体を通して、指導事項に示されたような言語能力がはぐくまれるよう指導や支援を行います。その一連の流れを質的に高める視点が「主体的・対話的で深い学び」、所謂「アクティブ・ラーニング」です。質的に高める、と言われてもピンときませんよね。そこで本稿では、「アクティブ」に「ラーニング」したくなる教材と言語活動に焦点を当てます。効かせるスパイスは、「半未知」と「ずれ」です。

 「半未知」とは、知っているようで知らないこと。そのような事象が教材化できれば、自ら問いを見出し、追究する能動性や切実感が喚起できると考えました。筆者の拙い実践を想起すると、教材化をしたのは交通機関における優先座席、オリンピック、ペット飼育などが挙げられます。子どもは、知識、経験の両面から、これらの事象を知っています。しかし、その歴史や変遷、現状などを知る機会は少ないのです。まさに「半未知」であり、どれも利点もあれば課題も内在する事象だと思いませんか。

 今回は、「半未知」の事象をとして、「若者言葉」を教材化した単元「『若者言葉』は言葉の乱れ?!」をご紹介します。「リア充・ググる・神ってる・ウザい」などの言葉、みなさんはどう思いますか? 第1次では、身近な人にインタビューしたり新聞の投書を読んだりし、根拠を増やしながら「若者言葉」に対する立場と考えを定めます。クラス全体で手に取った投書は20編にのぼり、インタビューは100名を超えました。一人の子どもが約3名にインタビューした計算です。その方々の立場をシールで可視化し、自分の立場も名札で示すと、肯定派(言葉は変化すべき➡若者言葉は「進化」)と否定派(正しい言葉を守るべき➡若者言葉は「乱れ」)が半々。これには、驚きの声が上がりました。ここに2つ目のキーワードである「ずれ」が登場します。立場や考えが同じだと安心感が芽生え、自信につながります。逆に「ずれ」ると不安や疑問が頭をよぎり、そこに対話が生まれます。「ずれ」を生かし、効果的に対話が進むように、第2次では、言語活動としてバズセッションを設定しました。バズセッションとは、グループで話し合った内容や結果を全体に報告する方法です。バズセッションと全体での話し合いをくり返す中で、新たな気づきをもとに考えを更新するなど「深い学び」を具現化した姿が見られ、「友達の考えと根拠を受けとめ、自らと比較する」など言語能力がはぐくまれていきました。

 これまでの実践に、ほんの少し、「半未知」と「ずれ」というスパイスを効かせるだけで教材と言語活動は広がり、子どもの「アクティブ・ラーニング」を生み出します。

山梨大学准教授 茅野政徳
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