Vol.098悪条件の下での先端的教育①
まずは何が大事かを、しっかりと考えよう

2018.01

 「へき地」という言葉があります。「へき地学校」という言葉もあり、一般的には教育環境に恵まれていない地域の学校のことを指します。そうした学校を支援することはたいへん大事なことです。しかし様々な意味での教育環境の悪化は、「へき地」だけに見出されるわけではありません。現在は都市部にも、いろいろな問題を抱えている学校が多くあります。「へき地学校」はもちろんですが、悪条件の下に置かれた学校での教育を改善していかなければなりません。それには外から支援を行うとともに、学校でも大事なことは何かをしっかりと考えることが必要です。

 大事なこととは何でしょうか。もし自分たちが教育の条件に恵まれていないと感じているのなら、教育のための設備が十分でなく、それを改善するためのお金も人も足りないと感じているのなら、まずは教育とは何かを、最初から考えなおしてみることが必要です。

 教育とは子どもが育っていくことを助けるものです。子どもたちに生きていく上で必要な知識を与え、子どもたちが自分自身の考えをしっかりもち、自信をもって社会の諸問題に取り組むことのできる人間になるように、支えていくものです。このことを忘れてはいけません。どのように時代が変わっても、この本質は変わりません。

 先端的な教育とは何でしょうか。上に書いたような本質を実現するために、新しい考え方・新しい知識・新しい技術を導入して、よりよく子どもたちを助けていくものです。先端的な教育とは流行っているものを指すのではありません。パソコンやタブレットを使えば、先端的な教育になるのではありません。それを導入することで、よりよい教育が実現できなければ意味はないのです。

 今はICTやデジタル教材、プログラミング学習などが先端的な教育の代名詞にようになっていて、次期学習指導要領の中にも登場しています。教育の条件に恵まれていないと、どのようにしてこうした教育を導入したらよいのか、当惑せざるをえないでしょう。しかし当惑する前に、教育にとって大事なことは何か、いわゆる「先端的」なものは、教育のどこを担うものとして登場しているのかを、よく考えてみる必要があります。

 次回はデジタル教材を題材にして、このことをより具体的に考えてみます。

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