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Vol.035子どもの切実感を引き出す算数の授業づくり―教育実習を迎える学生への指導を通して―②
教具で理解をうながす

 「教育実習事前指導」の授業では、「模擬授業」をすることもあります。先日も、私が授業者、学生が児童役になって低学年を想定した模擬授業を行いました。単元は「表とグラフ」です。

 はじめに縦10㎝、横40㎝に切った工作用紙を配ります。横は10㎝ごとに区切ってマジックで線を引き、4つの部屋に分けておきます。一つ目の部屋に自分の似顔絵を書くように指示します。二つ目の部屋には、自分の誕生日の月を書くように指示します。次に10㎝角の発泡スチロールの立方体を配布します。マジックで引いた線にはカッターで少しだけ切り込みを入れておいたので簡単に折ることができます。立方体に工作用紙を巻き付けてテープで留めます。

 私は、「誕生日月調べをしてみよう」と投げかけました。同じ誕生月を重ねると、人数が一目でわかります。1月から順に12月まで並べると、タワーのように見えます。「一番多い月は?」、「5月生まれと6月生まれの違いは何人?」。私の発問に対し、あっという間に答えが出ます。このタワーは、立体のグラフに見えるのです。

 授業後半、「生活科で育てたい夏野菜を三つ目の部屋に書いてみよう」と投げかけました。野菜ごとに発泡スチロールを重ね、数を数えました。私は表に整理して板書しました。「やさいころを使えば、数を比べることができます。表にすると、数が一目でわかります」というのは、学生の学習感想です。学生はこの立方体を「やさいころ」と名付けました。この授業内容は、私が2年生を担任していた頃の実践なのですが、当時の子どもたちは、何でもすぐにわかる「わかっタワー」と名付けました。「やさいころ」も「わかっタワー」もどちらもすごくいいネーミングセンスです。

 この授業のねらいは、日常の話題から絵を描いたり直接比べたり、わかりやすく整理したりといった具体的な活動を通して、グラフや表のよさに気付くことです。学生のリフレクション(写真)では、「算数の授業のつくり方やしくみがわかった。でも教具の準備が大変そう」という意見が出されました。教具づくりも授業づくりの面白さのひとつです。秋の教育実習で体感して欲しいものです。

東京学芸大学准教授
鈴木聡
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教具で理解をうながす
【Vol.035】2017.09