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Vol.034子どもの切実感を引き出す算数の授業づくり—教育実習を迎える学生への指導を通して—①
本質的な理解をめざす

 私は、小学校の教師を21年間していました。現在は、大学教員として授業研究を通した教師教育や教員養成に関わっています。勤務する大学では、学部3年生が秋に教育実習を行います。その準備として春学期に14回、講義で「事前指導」を行います。学生にとって一番関心があるのは「授業づくり」です。教育学部の学生ですから、家庭教師や塾講師、学校ボランティア等として、子どもたちに「教える」経験を持つ学生は多いです。しかし、小学校で45分間の授業をつくる、となると大きな壁があるようです。学生は、一方的に教えれば良いわけではないことはわかっています。だからこそ、その方法を求めるのです。

 ある学生から、「円の面積について授業します。ほとんどの児童が塾などで面積の公式を知っているので、どうやって授業をすればいいか迷っています」という相談を受けました。私は、「あなたは円の面積を求める公式を知っているの?」と聞いてみました。学生は、当然というような顔で、「半径×半径×3.14です」と答えます。「そうだね、では、どうして半径×半径×円周率で、円の面積が求められるの?」と聞くと、「えっ」と答えに窮するのです。「授業でも子どもたちに同じように聞いてごらんよ」と話しました。

 子どもたちは「公式」は知っているかもしれません。しかし、「なぜその公式を使うと面積が求められるのか?」ということを説明できる子どもは少ないのです。円の面積の求積は、既習である長方形の面積に等積変形して考えます。直径で分けて扇形を作り、交互に敷き詰めて長方形のようにします。縦が「半径」です。横は、「円周の半分」の長さです。「円周」は、直径に円周率をかけると求められることを見つけています。「円周の半分」は、「直径×3.14÷2」つまり「半径×3.14」ですから、「縦×横=半径×半径×3.14」となるわけです。

 「揺さぶり」によって、知っていたつもりでも本質的な理解に至っていなかったことに気付かせ、みんなで解決していくことが算数において、いや小学校の授業においては大事なことです。既習事項を使って新しい考え方をつくりだし、「へーっ」「なるほど!」と思えるような授業づくりに向け、学生もチャレンジしています。

東京学芸大学准教授
鈴木聡
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本質的な理解をめざす
【Vol.034】2017.09